肺炎を起こす細菌やウイルスは様々ありますが、肺炎球菌という細菌が、大人の肺炎の原因菌の25~40%を占めており、特に高齢者においては症状が重くなりやすいことが知られています。
肺炎球菌は、健康な人の鼻や喉にもいることは珍しくないのですが、普段は何も起こりません。
しかし体力が落ちてきたときや、インフルエンザなどにかかって気道の粘膜が傷ついたときに増殖を始め、肺炎を引き起こします。
高齢者は免疫機能が低下しているため、肺炎球菌が肺へ侵入しやすくなり、肺炎にかかるリスクが高くなります。
また、糖尿病や心臓病などの持病がある方も免疫機能が低下しているので注意が必要です。
予防が大切です
肺炎球菌に対しての治療は抗菌薬を用いますが、一番大切なのは「予防する」ことです。
肺炎球菌ワクチンを打つと肺炎球菌感染症になりにくくなる以外に重症化しにくくなります。
そのため日本感染症学会や厚生労働省でも肺炎球菌ワクチンの接種を推奨しています。
肺炎球菌ワクチンについて
肺炎球菌には90種類ほどの型があります。
その中で、成人が感染しやすい23種類に対するワクチンが「ニューモバックスNP(23価肺炎球菌ワクチン)」、小児が感染しやすい13種類に対するワクチンが「プレベナー13(13価肺炎球菌結合型ワクチン)」です。
23価肺炎球菌ワクチンであるニューモバックスNPは、肺炎球菌を広くカバーできるものの効果が長続きしない特性があります。
13価肺炎球菌結合型ワクチンであるプレベナー13は、カバーはそこまで広くない(それでも主要なものは大体カバーできています)ものの、13種類の菌に対する免疫を獲得でき、効果を持続させることが期待できます。
これらワクチンはどちらかを選びましょうというわけではありません。
どちらも接種したほうがいいとされています。
それぞれの働きが違うので、両方を接種して肺炎球菌に対する対策を万全にすることができます。
注意点
ただし、このワクチンは両方を同時に接種することはできず、一定期間空ける必要があります。
現在各自治体では肺炎球菌ワクチンに対する助成があります。
逗子市・葉山町ではその年に満65歳になる方に対して生涯で1度だけニューモバックスNP接種時に助成が出て、
3,000円の自己負担金で接種できることになっています。
(65歳の誕生日から66歳の誕生日前日まで)
※これまでは65歳で定期接種の機会を逃してしまった方も、70歳以降に「経過措置」として定期接種を受けることができましたが、経過措置は令和5年度(令和7年3月31日)で終了しました。
ただし過去に自費公費問わずニューモバックスNPを接種したことがある方は助成の対象にはならないのでご注意ください。
一方、プレベナー13は助成がないため自費での接種になります。
このように接種する状況は人それぞれありますので、接種ご希望の際はどちらから接種したほうがいいか、どのようなスケジュールで行った方がいいか、ご相談ください。
詳細につきましては、逗子市・葉山町のホームページをご確認下さい。
ニューモバックスNP | プレベナー13 | |
---|---|---|
特徴 | カバーできる範囲が広い 肺炎球菌の23種類をカバー |
免疫誘導能力が高い 肺炎球菌の13種類をカバー 保菌そのものを抑える |
接種間隔 | 5年ごとに摂取可能 (免疫記憶持続期間が短い) |
1回でよい (免疫記憶効果あり) |
費用 | 定期接種(公費助成あり) 逗子市・葉山町補助 3,000円 任意接種(公費助成なし) |
任意接種(公費助成なし) |